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「論語と算盤」に学ぶ〜人生を豊かにする事業を生むための大切な教え〜

2021.04.24

michinaru株式会社で学生インターンをしている若林です。

「変化を起こす挑戦者を創る」というミッションの元、新しい事業を生み出す人や組織づくりについて日々勉強をしています。

今週は、『現代語訳 論語と算盤 渋沢栄一 著 守屋 淳=訳』読みました。

著者の渋沢栄一は、放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公であったり、2024年からは新・一万円札の図柄に起用されるなど、今とても注目が集まっています。

新聞や電車の広告、ネット記事などで目にしている人も多いのではないでしょうか。

渋沢栄一が設立に関わった会社は4181社とされ(東京商工会議所調べ)、それ以外に500以上の慈善事業にも関わり、後世「日本資本主義の父」「実業界の父」と呼ばれ、ノーベル平和賞の候補にもなっています。

本書は実業界を創り上げた彼がどんな思いで事業を生み出していたのかが現代語でわかりやすく書かれている一冊です。

渋沢栄一がこの本を通じて主張していることを端的にまとめると

「どんな仕事をする中でも、道徳的な視点(論語)と利益を追求する視点(算盤)を持たなくてはいけない」

という事です。

現代では日本の多くの企業が取り入れているCSR(企業の社会的責任)やCSV(共通価値の創造)といった理念に通じ合う主張ですよね。

時代を超えて私たちに多くの事を教えてくれる名著だということがよくわかります。

国学院大学で教授を務める、杉山 里枝さんが渋沢栄一とCSRの関係について語っていた記事がとても興味深かったので是非こちらも読んでみていただきたいです。

私たちはなぜ今こそ渋沢栄一の理念に学ぶべきなのか

今回の記事では、「変化を起こす挑戦者を創る」という私たちmichinaruの理念に基づいて本書を「人生を豊かにする新規事業を生み出すために大切なことは何か?」という視点で読み解き、3つの重要だと思った事を伝えていきたいと思います。

1、社会のためになる道徳に基づく事業をするべきである

先ほども書かせていただきましたが、今の日本では多くの企業がCSR(企業の社会的責任)やCSV(共通価値の創造)といった考え方をビジネスモデルに組み込んでいますよね。

なんと、1916年(大正5年)に出版された『論語と算盤』の中にまさにこの概念の先駆けとなるような主張がされているのです。

本書の中で、渋沢栄一は

“経済活動を行うにあたって、もしみなが、「自分の利益さえ上がれば、他はどうなってもいいや」と考えていたらどうなるだろう。

むずかしいことをいうようだが、そんな事態になれば、孟子という思想家がいうように、「もし、みなのためのことを考えずに、自分一人の利益ばかりを考えれば、人から欲しいものを奪い取らないと満足できなくなる」といった事態になるのである。だからこそ本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではないと考えている。”

と述べています。

つまり

長く続く事業を生み出すためには儲けたいという思いだけではなく、社会のためになる道徳に基づかなければならない。

と主張しているのです。

昨今、ビジネスシーンで重要視されている企業の社会貢献の重要性を大正時代から伝えていたのですね。

このように書くと、まるでお金を儲けようとすることが悪いことかのように見えてしまいますが、彼は利益が欲しいという気持ちで働くのは当然で成長には欠かせないものとも語っています。

そしてこの視点こそ、渋沢栄一が実業家として後世に残る多くの事業を生み出せた要因だと思っています。

彼は「社会のためになる道徳に基づく事業をするべきである」と主張する理由を歴史を振り返りながらこのように説明しています。

“宋の時代に中国の学者が頭でっかちの理論を振りかざして利益を掴むことを否定してかかった結果、人々の元気がなくなり、国家も衰えて弱くなってしまった。現実に立脚し無い道徳は、国を滅亡させてしまうことすらある。だから、社会のためになる道徳といっても、一歩間違えれば、自らを滅ぼすことになってしまうのだ。

一方で、元王朝のように国家も関係ない、自分さえ良ければ良い。となった時にはその権威は失われ、国家は機能しなくなり、それもまた自らの身を滅ぼすことになってしまう。

自分さえ良ければ良いという気持ちで、一人で利益を上げようと思った時には必ずしっぺ返しをくらい、不幸に叩き落とされてしまうのです。”

彼の信念に基づく理想だけを語っているのではなく、現実的で冷静な視点から長く続く事業を生み出すためには「社会のためになる事業であること」が重要だと主張しているのです。

彼の生み出した事業が今も数多く残っていることからも、この主張には強い説得力がありますよね。

2、「趣味」ーワクワクするような面白みを持てる新規事業を生み出す

本書の中で渋沢栄一は

“どんな仕事でも、近頃の流行語で言えば、「趣味」ーワクワクするような面白みを持たなければならない。”

と主張しています。

その理由として、「趣味」を持って仕事に取り組む事で「この仕事は、こうしたい。ああしたい」「こうなったら、こうすれば、こうなるだろう」というように理想や思いを付け加えて実行していくようになるからだと説明しています。

一人前の「趣味」を持って仕事をする事で、心がこもるようになり、それに見合った成果が世間にもたらされるようになるのです。

これは、現代のビジネスシーンで多く言われている内発的動機を持って仕事をすることが大切だ。といった理論に非常に近いですよね。

大正時代から言われているように、楽しいと思える仕事には心を込めて取り組むことが出来るんですね。

何が自分にとってやりたい事なのか、どんな事に心が動くのかを知る事で、心を込めて取り組める仕事を見つけられる。そんな事を、渋沢栄一さんの生きていた約100年前の日本からも学ぶことができました。

新規事業を生み出すうえでも、この「趣味」ーワクワクするような面白みを忘れないでいたいですね。

3、成功と失敗は自分の身体に残ったカス

最後にお伝えしたいのは「成功と失敗は自分の身体に残ったカス」という、とても心に響いた言葉です。

また、本書の最後に書いてあることからも渋沢栄一が強く伝えたかった事であり、「変化を起こす挑戦者」の背中を押してくれるメッセージでもあると思います。

では「成功と失敗は自分の身体に残ったカス」というのはどのような意味なのでしょうか。

渋沢栄一は、成功とか失敗という事だけを眼中において、それよりもっと大切な「天地の道理」を見ていない人が多いと主張します。

広い世界には、成功するはずなのに失敗したという例や、善人が悪人に負けてしまったように見えることが多くあるといいます。しかし、長い目で見れば、それらの差は、はっきりと結果になってあらわれてくるのです。

いっときの成功や失敗は、長い人生や、価値の多い生涯に置ける泡のようなもので、こればかりを見て一喜一憂をしてしまってはいけません。

誠実に努力をして、正しい行為の道筋にそって行動をし続けることで、成功や失敗などとはレベルの違う、価値のある生涯を送ることが出来るのです。

この事を伝えるために渋沢栄一は「成功と失敗は自分の身体に残ったカス」という言葉を用いました。

何か新しい挑戦をした時にはきっと、何度も壁にぶつかり挑戦した事を後悔する場面や、早くして成功した人を羨む場面が訪れると思います。

しかし、この「成功と失敗は自分の身体に残ったカス」という言葉が頭の片隅にある事で、失敗にも心を落としすぎず、ひたむきな努力を続けられるようになるのではないでしょうか。

『現代語訳 論語と算盤 渋沢栄一 著 守屋 淳=訳』を読んでみて

最後まで読んでいただきありがとうございました。『現代語訳 論語と算盤 渋沢栄一 著 守屋 淳=訳』を読んでみて、「人生を豊かにする新規事業を生み出すために大切」重要な

1、社会のためになる道徳に基づく事業をするべきである

2、「趣味」ーワクワクするような面白みを持てる新規事業を生み出す

3、成功と失敗は自分の身体に残ったカス

という3つの考え方を紹介させていただきました。

どのようにしたら良い組織や事業が生み出せるかといった、プロセスが丁寧に書かれている本にも、もちろん学び多いです。しかし、日常の中で見落としてしまいがちな、人としてどのように成長することができるのか。という事を学ぶ時間もとても大切だと読みながら感じました。

この記事を読んでくれたみなさまにも、渋沢栄一の言葉が響いたでしょうか。そして、みなさまが社会をそして人生を前に進める「挑戦」の後押しを少しでも出来ていたらできていたらとても嬉しいです。