COLUMNSコラム

事業創り 人創り

新規事業には、とにもかくにもチームの在り方が大事!
〜新規事業メンバーの自発性を引き出す”3C”とは〜

2024.10.16


みなさん、こんにちは!
Natsuko’s Coffee Chat 第2回目です。

ビジネススクールは夏休みが明け、再び怒涛の学びの期間がスタートしています。人事異動や組織変更などで忙しくしている人も多いのではないでしょうか。一気に涼しくなってきましたが、体調に気をつけて一緒に秋を乗り切りましょう!

さて、今回は、組織人材論から見た、新規事業チームとして必要な要件について考えてみました。チームで動くことが多い中で、チームをどう捉えておくといいのか、私なりの考えをお伝えしたいと思います。

#1:新規事業のチームにありがちなこと

新規事業のお手伝いをしていると
「現業が忙しく、メンバー全員がなかなか集まれない」
「集ったメンバーは、既存事業で売り上げを出さないと評価できないと上司から言われている」
「事業化する前に頓挫する案件が多く、メンバーのモチベーションが続かない」
「既存事業と比べて明確な目標が定まっておらず、チームの連携が難しい」

などなど、事業プランもさることながら、組織的な側面からうまくいっていないというお悩みをお聞きします。

何のためにやるのか?やっていても意味がないのでは?そんな疑問や不安を抱きながら新規事業に取り組んでいるケースが多いように感じます。そして多くの場合、チームのメンバー間で温度差があり、誰かに負担が偏っていたり、事業アイデアに対するWillを全員で共有できていません。 特に新規事業においては、ゴールが見えなかったり、進め方に正解がなく迷うことも多くあるので、チームとしての一体感を持たないと、物事がうまく進まないのは、想像に難くないでしょう。

#2:自発的なチームに必要な「3つのC」

本来、チームというのは、何の制約もなければ、各人の行動はバラバラになるはずです。個人のパーソナリティは千差万別で、簡単に変えることはできません。

私も、チームで仕事をしていて、好奇心が旺盛な人もいれば、用心深くリスク思考が強い人もいて、果敢に攻めたい人もいれば、着実に積み上げていきたい人もいて、一つにまとまるということの難しさを感じてきました。

チームとして一体感を持ち、メンバーそれぞれが自発的に行動を起こせる状態にするためには、当然工夫が必要なんですよね。

「特性活性化理論」(Tett and Guterman,2000)という組織行動の研究によれば、個人の持つパーソナリティがどれくらいチームに反映されるかは、コントロールできるという調査結果があります。そのための要素として、「3C」があると言われていて、強いチームの状況を作ってくれます。 その3つのCとは何か。

Clarity:
メンバー個々人に目標が共有され、何をすべきか明確であること

Consistency:
メンバー個人がどのような行動をとると評価されるのかについての共通認識があること

Consequence:
チームの成果が重要な意味を持つということに共通理解があること

この3つのCが揃っていなければ、簡単に変えることのできない個々人のパーソナリティの特徴がチームに表出し、チームとしてまとまるということが難しい、ということになるんです。

既存事業であれば、これまでの会社の枠組みの中で一定程度どのような行動を取るべきか想像できますが(例えば事業の目標を達成するために営業活動を2倍に増やす、など)、新規事業においてはその指針がないことが多く、チームや個人に依存していることが多いです。

そのため、再現性がなく、1つのチームがうまくいっても、他のチームの場合はうまくいかない、といったことも起こるわけです。 そうすると、結局社内に知見は溜まらず、乗り越えるべきハードルも可視化されません。

#3:新規事業チームを機能させる3Cの具体例

では、3つのCを具体的に新規事業の活動に照らし合わせ考えてみるとどうでしょう。

Clarity:
チームとして新規事業のゴール(例:××年までに△億、●年までに新規ユーザーを獲得)が明確になっており 、そのためのマイルストーンにメンバーが動機づいていること

Consistency:
メンバーの中で目標達成に向けた役割分担が明確になっており、個々のKPIに対する共通認識が持てていること

Consequence:
トップマネジメントが揃う場でのプレゼン機会があるなどチームの活動の重要性が感じられること

会社としては、制度を整理して新規事業に光を当てる努力をすることも大事ではありますが、まずその前に、チームとして「3C」が整っている状態か、定期的にチェックしてみるのも手かもしれません。

特に、うまく行っていないな、と思うときは、チームとしての在り方が弱い状態、つまりいずれかのCが抜け落ちている可能性があります。

個人的には、Clarityの要素が大事で、チームとしてどこを目指すのか、だからこういうことをやるんだ、という方向性が全員で見えていることが、メンバーの個々人のモチベーションを高め、チームを強くするのだと思います。

そしてあくまでチームなので、全員が共通認識を持てていること。 この「チーム」の輪が、新規事業に取り組んでいる「チーム」単体から、部署全体、あるいは会社全体に広がっていくよう、michinaruとしてはただ直向きにお客様と対話しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は、「新規事業を前進させるチームに必要な3C」と題して、お話をしました。新規事業に挑戦するリーダーやチームの方々のヒントになれば嬉しいです。

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岡部 菜津子 Natsuko Okabe
慶應義塾大学卒業後、新卒でリンクアンドモチベーションに入社。人事として採用育成業務に従事。その後NTTグループの新卒採用立ち上げを担い、2017年にビザスクに転職。多くの大手企業を対象に新規事業の伴走支援を担い、制度設計から事業プランのサポート、ワークショップの企画運営など幅広く行う。2024年michinaruにジョイン。現在は、ビジネススクールに通いながらクライアンパートナーとして事業創造の現場を支援。自らも両利きのキャリアを実践する

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