COLUMNSコラム

書籍紹介

「進化思考」から学ぶ〜創造性のある人の思考法〜概念編

2021.10.05

「生物の進化」に学ぶ「創造」の普遍的な法則とは?

michinaru株式会社で学生インターンをしている若林です。

「変化を起こす挑戦者を創る」というミッションの元、新しい事業を生み出す人や組織づくりについて日々勉強をしています。

今週は『進化思考〜生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」〜』太刀川英輔著を読みました。500ページ以上もある本ですが、最後までずっと刺激的な本でした。

著者である太刀川氏は「生物の進化」と「創造」は非常によく似た自然現象であるという仮説から、ー「進化思考」ーという思考法を生み出しました。

今回の記事では、その「進化思考」がどのような思考法なのかを理解し、クリエイティブなアイデアを生み出すヒントをお伝えできるよう

「生物の進化」に学ぶ「創造」の普遍的な法則とは?

という問いを立て

1.「創造」とは何なのか。

2.普遍的に存在する「変異と適応の往復」という法則

という2つのトピックで答えていこうと思います。

本書は内容が濃く、一つの記事では収まりきらなかったので、概念編と具体編の2つの記事で紹介していこうと思います。

前編であるこの記事では「進化思考」の概念を紹介していきます。

1.「創造」とは何なのか?

「生物の進化」と「創造」の共通点を考えていくために、本書では始めに

「創造」とは何なのか?

という問いを読者に投げかけてきます。

確かに、「創造性」や「イノベーション」という言葉の定義について深く考えたことはなかったなとハッとさせられた一文でした。

その問い対して著者の太刀川氏は

創造とは言語によって発現した「擬似進化」の能力である。

という仮説を立てています。

太刀川氏の仮説は現実と照らし合わせることで深く理解することが出来ます。

私たち人類は20万年前と比べて身体の構造をほとんど変えていないのにも関わらず、信じられないスピードで出来ることを増やしています。

今では、本や記憶装置のおかげで大量・正確に「記録」ができるし、望遠鏡や顕微鏡を発明したことで、人類は星の表面やウイルスまで「見る」ことが出来ます。

言語が生まれた時期と石器時代を乗り越えた時期が重なることから、「創造」は言語によって発現したと考えられています。

このような事実から太刀川氏は

創造とは言語によって発現した「擬似進化」の能力である。

という仮説を打ち立てました。

「生物の進化」は長い年月をかけて、少しずつ環境に適応していきますが、人間は「創造」による「擬似進化」をしてきたおかけで、短期間で環境に適応してきました。

鳥は空を飛ぶために「羽」の生えた体に「進化」しましたが、人間は飛行機やヘリコプターを「創造」することで空を飛べるようになりました。

自分はこの仮説に深く共感しました。

また。「創造」が本能的に行われてきた自然現象なのだと捉えることで、より身近な存在に感じることができました。

皆さんはどうでしょうか?

次の章では、「進化」と「創造」に共通する普遍的な法則について書いていきます。

2.普遍的に存在する「変異と適応の往復」という法則

「創造」は言語によって発現した「擬似進化」である。

と考えた太刀川氏は生物の「進化」の仕組みを人の「創造」に活かせるのではないかという仮説を立て、検証を始めました。

人類の「創造」はたかだか数万年しか行われていないですが、生物の「進化」は38億年の自然選択によって磨かれてきました。それなら、生物の「進化」の仕組みの方が「創造」よりも優れているのではないかと考えていたからです。

そんな仮説を持ちながら活動をしていく中で、自然物にも人工物にも共通する普遍的な法則を見つけ出しました。

それは

「創造は、進化と同じく変異と適応の繰り返しによって生まれる。」

という法則です。

そして、これこそ彼が提案する「進化思考」の本質です。

生物は長い時間をかけて遺伝により「変異」し、その中でも、自然環境に「適応」した種だけが生き残っていくことで「進化」をしてきました。

ある日、遺伝子の変異によって足のない「トカゲ」が生まれ、その個体が環境に適応し、生き残ったことで新たな「ヘビ」という種が生まれました。

このように生物は「変異と適応の繰り返し」によって「進化」をすることで生き残っています。

それと同じ法則が、人工物の創造にもみられます。

人は数え切れないほどの人工物を「変異」させ生み出し続けていますが、その中でも上手く社会に「適応」したものが人々に受け入れられ、人類の「擬似進化」を促してきました。

記録をするための道具を例にとっても「変異と適応の繰り返し」による創造が見られます。

「石」に書き込むことから始まり「紙」そして現在では「データ」としてデジタル空間に保存することが主流となってきています。

今では「石」に書き込んで情報を記録する人はほとんどいないですよね。

それは、「データ」として記録する方が今の人類の生活に「適応」しているからです。

このように、太刀川氏は自然物にも人工物にも当てはまる

「創造は、進化と同じく変異と適応の繰り返しによって生まれる。」

という普遍的な法則を見つけ出したのです。

だからこそ彼は、「生物の進化」にみられる「変異と適応の繰り返し」を思考法として用いることで誰もが「創造性」を発揮できると確信をしました。

変異の思考:偶発的なアイデアを大量に生み出す発想手法

適応の思考:適応状況を理解する生物学的なリサーチ手法

進化思考ではこの「変異の思考」と「適応の思考」往復することで、イノベーティブなアイデアを生み出していきます。

『進化思考』を読んでみて

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回の記事では

「生物の進化」に学ぶ「創造」の普遍的な法則とは?

という問いのもと

1.「創造」とは何なのか。

2.普遍的に存在する「変異と適応の往復」という法則

という2つのトピックで答えてきました。

「変異の思考」と「適応の思考」往復することで、イノベーティブなアイデアを生み出していくことが出来る。という「進化思考」は自分の背中を押してくれる発想でした。

偉大な発明をしてきた人たちは、先天的に優れていたと考えてしまっていたのですが、そうではなく、誰もがイノベーティブなアイデアを生み出す可能性を持っていると感じる事が出来たからです。

読者の皆様にとってもこの記事が、イノベーティブなアイデアを生み出すことに挑戦する勇気になっていたら嬉しいです。

次の具体編の記事では、「進化思考」を実践的に活用できるように「変異の9つのパターン」と「適応の4つの概念」を紹介していきます。

是非、楽しみにしていてください!