COLUMNSコラム

書籍紹介 仕組み創り

「学習する組織」から学ぶ、事業創造に大切な3つのポイント

2021.03.26

michinaru株式会社で学生インターンをしている若林です。

「変化を起こす挑戦者を創る」というミッションの元、新しい事業を生み出す人や組織づくりについて日々勉強をしています。

今週は『「学習する組織」入門 小田理一郎著』を読み返してみました。

織開発に関わる方であれば一度は読んだことがある人も多いかもしれません。事業環境の変化が激しい現代において求められる、柔軟に進化していく組織を生み出すプロセスが丁寧に書いてある素晴らしい本です。

この記事では事業を生み出す組織づくりに大切なことは何か?という視点で重要だと思った3つの考え方を紹介していきたいと思います。

1.中央集権型組織から自立分散型組織へ移行すること

事業環境の複雑性が増し、変化も激しくなっている今日において、トップダウンによる管理型の組織が機能しなくなってきていることは多くの場所で言われてきていますよね。

この本の中でも、中央集権的な組織の限界が語られ、自立分散型の組織へ移行することの必要性が語られていました。

自立分散型の組織は、特定の管理者を持たない分散型の組織で、組織内の階層構造もなく、構成員一人一人によって自律的に運営されているのが特徴です。組織としてのあらゆる意思決定や実行、ガバナンスは構成員の合意によりあらかじめ定められたルールに従って執行されます。

なぜ事業環境が激しい今日において自立分散型組織への移行が求められるのか。それは自立分散型組織の方が環境変化により迅速に適応し、イノベーションや現場の工夫が起こりやすくなるからです。

実際に、SoL(組織学習協会)の共同設立者の一人、アリー・デ・グースもまた『企業生命力』の中で長寿企業の特徴について研究した結果を次のように紹介しているようです。

1.環境と調和して適応すること。

2.強いアイデンティティ・独自性を持っているということ。特に、何らかの環境変化が起きた際に強い団結力を示すこと。

3.意思決定が現場で分散してなされることに対して、中央が寛容であること。

4.余裕やあそびを常に持っていること。

この分析は、中央集権的で効率を重視する組織が短命であることを示唆していますよね。

環境変化に適応し、時代にあった事業が生まれやすい企業を生み出すためには、組織が自立分散型に移行することへ寛容であること、そして、意思決定が分権化してもなお、全体としての共通アイデンティティが保持されるような組織を目指す必要があります。

2.組織に潜む”無意識の前提”に気づくこと

中央集権型組織から自立分散型組織への移行を成功させるためには、一人一人の行動の変容が必要です。

しかし、新たな行動規範を立て伝達をしているけれど、メンバーの行動がそれとは一致しない場合、その不一致に本人が気づいていない可能性を疑わなくてはいけません。

本人の気づいていない、無意識の前提が行動の変容を妨げているのです。

例えば、「自主性を持って積極的に行動をする」という行動規範を立てた時に、「私は自分で考えて行動をしているぞ」と言っていながら、目の前で困っているお客さんがいても見て見ぬ振りをしたり、良いアイデアが思い浮かんでも手を挙げなかったりした場合、その人は自主性を持って行動をしてるとは思いません。

頭の中で信じている価値観や規範と、実際にとっている態度や行動の規範が異なることは往々にしてあります。

組織改革に向け立てた、行動規範や目標の達成するためには、実際にとっている行動から思考を読み取り、本人も気づいていなかった、無意識の前提を検証してく必要があります。

とろうと思っていた行動がとれず、望ましくない行動をしてしまった場合、それを正当化してしまう内側の言葉はどんなものか。

「このお客様は気づかないフリをした方が、トラブルにならなさそうだな」「アイデアは伝えても意味がないし、言われたことだけ実行した方がスムーズに終わるな」といったものがあるかもしれません。

その言葉の背後にある欲求や感情、裏の目標や無意識の前提に気づいてもらうことが効果的な行動の変容につながります。

職場や組織の中でこういった無意識の前提が組織風土としてはびこっているようならば、まず気づいてもらうことが大切です。

具体的な事象をあげた上で、なぜそのような前提を持ってしまうのか、大事にしたい事を守りながら他の行動パターンを築けないか、などについて共同で考察してみる必要があります。

3.変化に対する恐れや不安に配慮すること

先に述べたような、風通しの良い組織、自立して主体的に動く組織を目指すには、今までとは違った行動パターンが求められます。その変化に対して、恐れや不安を感じるのはごく自然なことです。そして、その恐れや不安が組織開発への参画や努力投入にブレーキをかけているのです。

しかし、その恐れや不安をやみくもにかき消したり、他人からかき消すことを強要されたら、なおさら生存本能が働き、抵抗は強いものになってしまいがちです。

メンバーの変化に対する恐れや不安はまず受け止めること。そして、何を大切にしたくて恐れや不安を抱いているのかを探求するのが有効な手段です。

変革の取り組みは「何を変えるのか」を強調することが多いです。しかし、変化を求められる者にとっては、そのようなアプローチでは、何もかもが変わってしまうのではないかと不安になりやすいです。

「何を変えるのか」だけではなく、「何を守るのか」「何を残すのか」を明確にすることで、変化を受け入れられる確率は高まります。

信頼に満ちた安全な場を提供しながら、受容、探求、適応のプロセスを助けることが、個々の変化を支えていきます。

『「学習する組織」入門』を読んでみて

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『「学習する組織」入門』の中でも、事業を生み出す組織づくりに特に大切だと考える

1.中央集権型組織から自立分散型組織へ移行すること

2.組織に潜む”無意識の前提”に気づくこと

3.変化に対する恐れや不安に配慮すること

という3つの考え方を紹介させていただきました。

この記事が読者の方の所属している組織のあり方やビジョンを考える上で何かヒントになり、変化を起こす挑戦者を少しでも勇気付けることが出来ていたら嬉しいです。

コラム-資料DL